ガーデンカタログ
10/532

欧米の国々で住まいは、築年数が長いほど良いとされています。世代を越えて住み継がれるうちに滲み出てくる古さや味わいを経年美として捉える、そのような価値観が根づいているからでしょう。住む人が少しずつ手を加え、また次に住む人が手を加え…と、家族が積み重ねた時間がそのまま家屋の個性となっている点も魅力といえるのかもしれません。日本でも、庭園や寺社建築、古民家など歴史と伝統あるものに価値を見いだす文化があります。現代の住まいづくりでは、耐震性や耐久性、快適性など建物の数値ばかりに目を向けがちですが、もともと繊細な感性を持つ日本人が、家屋としての経年美が垣間みられるアンティーク・スタイルの住まいに魅力を感じるのはごく自然なことなのかもしれません。アンティークと聞くと、維持や管理が難しそうと感じるかもしれません。しかし例えば、新築の住まいであっても、日々の暮らしで人の暮らしが積み重ねた趣を醸し出す。目に触れるちょっとしたアイテムにアンティーク品を使用したり、柱や梁などの構造に古材を利用するなどして、人の暮らしが積み重ねたような風格や趣を醸し出すことができるでしょう。アンティーク・スタイルでは、レンガ、タイル、ステンドグラス、ランプシェードなどに本物のアンティーク品を使用することはもちろん、熟練の職人技によりエイジング(使い込まれたような風合いを再現する)加工を施したり、柱や梁などの構造に良質の古材を使ったりと、さまざまな手法を用います。年代モノの骨董品で飾りたてたりする必要はなく、むしろ大切なのは経年変化に耐える自然素材を用いること。暮らすうちに家族がつけたキズやヨゴレがやがて味わいへと変わるよう、無垢の木や珪藻土、ストーンやアイアンなど、ゆっくりと時間をかけて本物のアンティークになる材料を厳選します。また、ディテール(細部)に気をつかうのも、アンティーク・スタイルの大きな特徴。ドアノブや家具の取っ手、カーテンレールやホルダー、スイッチプレートなど、ひとつひとつの素材やデザインに徹底的にこだわることで、住まい全体にアンティークなイメージを浸透させることができます。家族が心地いいと感じたり、好きだと思うモノを集めて、我が家だけのアンティーク・スタイルを楽しみましょう。スタイルを楽しむ住まい。 スタイル。STYLE010

元のページ 

10秒後に元のページに移動します

※このページを正しく表示するにはFlashPlayer10.2以上が必要です