ガーデンカタログ
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LASS1300℃の溶解窯の中には、高温の水あめと化したガラスの素地。商品のデザインに合わせて、窯ごとに必要な色に分けて用意されています。まずは、そのドロリとした液体を吹き棹の先に巻き取ると、間髪を入れず、リンと呼ばれる鉄のお椀のような道具に移して形を整え、小さな下玉を作ります。次に、この上に別の(商品によっては、同じ)色ガラスの素地を巻き付け、色や形のバランスを整えた後、クルクルと吹き棹を回して息を吹き込み、ガラスを膨らませていきます。吹き棹の先で少しずつ形になってきたガラスを、1000℃の整形窯で加熱。息を吹き込み、さらに膨らませていきます。そして、ある程度の大きさになったところで、トング状の洋バシで整形。ここから、窯に入れては熱し、取り出しては口を広げる作業が何度も繰り返されます。この間にも、職人の額には玉のような汗が。何しろ相手は高温のガラス、そして、工房内の気温も夏場は涼しいところでも40℃を超える暑さになります。こうして息もつかせぬ工程が続き、ややあって、ボウル状の形のものが姿を現します。これをハサミでカットして吹き棹から外せば、琉球ガラス手洗・洗面ボウルの完成です。温度×時間×手仕事から生まれるもの。【琉球ガラスの色彩】ビールの茶、コーラの薄緑、セブンアップの緑…、アメリカ軍が持ち込んだ色付きの廃瓶をきっかけに、琉球ガラスは、その特徴である鮮やかな色彩を手に入れました。現在は、色を通じたより繊細な表現のために、粉状の原料ガラスが主流に。オレンジ、茶、緑、水色、青、紫の6色を基本に、調合によりピンクや黄、黒など、濃淡を含めてさまざまな色ガラスが作られています。【琉球ガラスの気泡】1300℃の窯の中で水あめ状に溶けたガラスの素地に、炭酸水素ナトリウム(重曹)を加えて撹拌すると、無数の細かい気泡が現れます。気泡は時間が経つにつれて、サイダーの炭酸が抜けるように少しずつ薄くなっていくので、頃合を見計らって窯から取り出し整形します。かつては、廃瓶の再利用により不純物が混ざることで生じていた気泡。原料ガラスを使う工房が増えた現在では、気泡は“素朴な味わい”を醸し出す技法のひとつとして受け継がれています。381

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